大学時代、僕の知人は陸上部に所属していました。
年に一回、夏にキャンプに行くのが恒例行事でした。
場所は福井県三国町にあるキャンプ場です。
ここ三国町には有名な自殺の名所東尋坊があります。
毎年、必ずあの岩場から飛び込み自殺をする人が後を絶たず、東尋坊内にある電話ボックスには自殺を思いとどまらせようとする人が
「自殺をする前にここに電話して下さい」
って張り紙があったりします。
舞台はその東尋坊から少し離れた場所にある雄島という所です。
ここは岸から島に渡るまでに赤い橋がかかっており、夜中に3人でその橋を渡ると真ん中の人が海に引き込まれるとか、島には東尋坊で自殺した幽霊が出るなど怖い噂が絶えませんでした。
事実、潮の流れの影響か、東尋坊で自殺した遺体はほとんどが雄島に流れ着くそうです。
その島でなんと肝試しをするということになりました。
怖い話は好きだが、非常に怖がりな私は嫌で仕方ありませんでした。
なぜなら、部員の中で4人おばけ役をやることになり、私が選ばれたのです。
お化けは島に先乗りして、みんなが来るのを待てとの命令が下されました
そんな本物の幽霊が出るような場所で先に行って待つなんて、お化け役のほうがよっぽど怖いと思いましたが、そこは先輩の命令渋々島に先乗りして隠れ、みんなが来るのを待ちました。
しかし、辺りは漆黒の闇でほんまにいつ幽霊が出てもおかしくないって感じでした。
すると、幽霊役の先輩が暗闇から声を掛けてきたのです。
めちゃめちゃビックリしました。
先輩は1人ではここにいることも出来ないので一緒にいようと持ちかけてきました。
私は二つ返事で承諾しました。
そして、残りの部員が島にやってきました。
私たちは思いっきり怖がらせてやろうとして、私は下、先輩は木の上に登り上下から攻撃しました。
思惑通り、部員達は驚き、走って逃げていきました。
逃げ足はさすが陸上部といった感じで早かったです。
そして無事肝試しが終わったのですが、後で話を聞くと、4つグループがあって、そのうちの一組がおかしな事を言いだしたのです。
「お化け役って4人だったよね?僕らちゃんと4カ所で幽霊役見たよ」
「うんうん、1人だけ脅かさずに前を横切っただけだったけどね」
私は先輩と一緒にいたからお化け役がいる場所は3カ所に減ってるんですけど…
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