私は最近、大阪に引っ越してきました。
引っ越し後の荷物の片づけも落ち着いたのでちょっと買い物へでも行こうと思い、1人で梅田へ出かけたんです。
色んなお店を見た帰りに、人の流れに任せるまま歩いているといつの間にか地下街のホワイティうめだという所にいました。
その時の時刻は丁度夕方16時頃、平日という事もあって人気はあまりありませんでした。
ちょっと寒気がしたので戻ろうとしたのですが益々迷ってしまい、とうとう噴水の辺りに到着したのです。
噴水の周りには人が2~3名程おりましたが、その内の1人の女の様子が何だかおかしいのです。
女の顔を覆うようにだらりと腰まで伸びた黒い髪、そして季節は夏なのに足首まであるコートを着ています。
女は噴水の周りをぐるぐると歩いているのですが、その歩き方が頭を左右に振りながら腕をでたらめに動かすというものなんです。
他の人はその女の動きも全く注目していませんし、女が近寄っても気にしません。
まるで女の事が見えていないようなんです。
何となく嫌な予感がして目を合わせないようにして、その場から立ち去ろうとしました。
その瞬間、グッと肩を掴まれ振り向くとあの女が居たのです。
凄く驚いたのですが女の顔を間近で見た瞬間、金縛りにあったように声が出ず体も動かせなくなってしまいました。
女の眼には白目がなく、口元はニヤニヤと意地悪く笑っていたのです。
そして私の耳元に近寄り
「見えてるんだろう…許さない」
と言ったのです。
その声を聞いた私はあまりの恐ろしさに気を失いそうになりました。
しかしたまたま手に持っていた携帯に着信がかかった途端に体の金縛りが解け、女も私の眼の前から消えたのです。
急いで地上に出て携帯を確かめてみたのですが、携帯には誰からの着信履歴も残っていませんでした。
不思議に思いながら家に帰り家族にさっき起こった事を話すと、聞いた話ではあの泉の広場には昔から女の幽霊が出るという噂があると教えてもらったんです。
あのまま携帯に着信がなければ私はどうなっていたのか、考えただけでもとても身震いしてしまいます。
あれ以来怖くて、泉の広場には近寄れていません。
コメントを残す